- 更新日
- 2018.08.13
ゴルフ場利用税から見た“直近”平成29年度ゴルフ場来場者数速報と気になる動き
一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会(NGK)から平成29年度(29年4月~30年3月)が発表されました。総来場者数は8575万3544人でした。速報値の表を掲載しましたので参照してください。前年の速報値8623万2500人と比較すると、47万8956人少なく、率では0.56%の減少でした。毎年末に発表される確定人数とは違い、今後修正が入ることになりますが、速報値で見る限り、前年度に引き続き前年実績割れとなるとみられています。
今年は、西日本大水害の発生で中四国地区を中心にゴルフ場の来場者数減は必至で、さらに来年は消費税が10%に引き上げられることでの影響も避けられない状況です。業界には、若年・女性ゴルファーの育成・底辺拡大、シニア層のプレー支援などゴルフ振興策の充実と実施が、今まで以上に求められています。各団体の取り組み等については、ゴルフ市場活性化委員会、日本ゴルフサミット会議、それぞれの団体のホームページから確認してください。
そして東京オリンピック2020は、ゴルフについても好影響が期待されますが、同時にポスト東京オリンピック対策が重要になっています。日本は人口減少社会に突入し、減少する人口の中で、持続可能なゴルフ市場をどう作り上げるかがポスト東京オリンピックのテーマです。団塊の世代の高齢化→ゴルフからのリタイアも懸念されます。
対策を考える上では、現在のゴルフ市場を正しく捉える必要があります。今回は、最近のゴルフ場来場者数の動きを、四季によるシーズン差を調整した季節調整値を算出して、ゴルフ市場のトレンドを追ってみました。季節変動調整値は、四半期の移動平均を算出し、季節指数を計算して出すという一般的な手法で行いました。
結果は、グラフに示しました。平成27年度までは上昇気配で推移していましたが、28年度から来場者数を下げる方向に変化しているように見えます。統計の専門家に確認しましたが、28年以降で波形は変化していると見てよいという意見でした。来場者数を下げる“何か”の力が働いているとなると、当然対策が必要で、要因分析をしっかりとする必要がある!となります。そして、今後大きく減ると予測される69歳未満の利用者減少をカバーするのは、70歳以上の非課税利用者ではなくて、若年層と女性層でゴルファーを増やすことが最良の対策となることは間違いありません。
ところで、グラフには主な社会現象を示しました。平成23年3月の東日本大震災の影響は大きくマイナスへと作用しましたが、日本全体では1年ほどで回復へと動きました。次に26年4月に一般消費税が5%から8%へと引き上げられました。消費税の引き上げだけが原因ではないでしょうが、引き上げ後のトレンドが回復するまでには約2年かかっています。回復したころに熊本地震が発生しました。影響は出ましたが、専門家が指摘するように、この時期から波形が変化しています。地震が要因ではない“何か”が来場者数を下げる方向に働いていると考える必要があるということです。この“何か”が、これからのゴルフに求められている成長要因であるように思えます。慎重に、速やかにゴルフ場の利用状況を観察・分析する必要があります。(資料提供:一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会、文責:ゴルフ市場活性化委員会広報部・NGK)NGK2017sokuhou